2015年11月28日

全国大会が終わり

 全国大会が終わった。結果は銀賞。2年ぶり、というか富山大会以来の銀賞で、ひとまず良かった。
 昨年の高松大会以来、少しずつ足りないものを埋めるべく、毎週積み上げてきたつもりだが、実際うまくなって、説得力のある演奏ができたのかは自分ではよくわからない。ただ、専門的に声楽を勉強したことのない団員が圧倒的に多い私たちにとって、基礎的な母音や発声、歌い回しなど身につけてほしい技術はたくさんあり、それをたった1週間に1回の練習で劇的な改善は望めない。数年がかりでずっと同じことを言っているような気もするが、やっと少しは改善した、かも??それによって安定感のある和音、ダイナミックな音楽表現につながっていって欲しいと願っている。私たちの音楽のパレットの上にたくさんの色をのせられるようになりたい。

 全国大会自体は最後の数団体しか聴くことが出来なかったが、声や様式感、編成の違いなどやはり全国に出てくる団体は勉強になった。自分の中の価値基準が定まってくるのを感じるし、全国に選ばれた理由を考えることで、様々な合唱音楽の良さを考えることにつながる。

 長崎はとても遠かったが、とても良いところだった。海と坂道と路面電車の風景はここならではの美しさ。短時間だったが大浦天主堂、グラバー邸を見て回り、江戸時代から明治時代の歴史に思いを馳せた。グラバー邸(園)には三浦環像もあり、歌科出身としては感慨深いものがあった。蝶々夫人はそういえば長崎が舞台だったなと思い出す。あの長崎の急な坂道の下からピンカートンが・・・、という風景が似合う街だった。

 来年は鳥取市梨花ホール。全国から凄い団体が集まるのは素晴らしいこと。来年もその場に立てるよう、また長い1年が始まる。


 






posted by ゾリステンアンサンブルHP管理人 at 20:30| 島根 ☔| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

全国大会前

 今年もお陰様で全国大会に出場することになった。今年は長崎。滅多に行ける場所でないので、有り難いなと思う。考えてみれば、全国大会に出場することであちこちの土地に行くことができている。といっても、あんまり観光することもなく慌ただしく練習して、前夜祭して、練習して本番して打ち上げして帰る、ということが多いのだけど・・・。今年は、初ハウステンボスに挑戦!かな。。。(そういえば、千葉の時は初ディズ○ー・シーだった!)

今年の課題曲はパレストリーナ。自由曲はヒンデミット。今回は近づいたのでヒンデミットの曲について紹介してみたい。

ヒンデミットは1895年生まれ。ドイツ人であったが、ヒトラーの支配を嫌い、1940年にアメリカに亡命している。詳しくは以下へ。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88

今回の自由曲、「Five songs on old texts」は、1936年の作曲で、ヒンデミット41歳の作品。ただ実は1923年に同じテキスト4つを使った「Lieder nach alten Texten op.33」(古い詩文による歌曲集)という曲集がある。この曲集は6曲からなり、4声〜6声であり、ドイツ語による。曲もこっちの方がやや渋く、難易度も高い。(ちなみに今年の高校Aの不来方高校はこの曲集から選曲している)

今回の自由曲はもともと西暦1000年前後につくられたような古い詩をさらに英訳したものに作曲されている。なぜか、ということについてはわからないが、楽譜の発行がショットであり、調べても英語表記のものしか出てこないところを見るとやはり英訳されたものに作曲されたと考えている。

第1曲は「True Love(真の愛)」。歌詞に出てくるのはトリスタン。トリスタンといえば、あの「トリスタンとイゾルデ」。媚薬の力によってイゾルデとの恋が始まる、というあの人。この詩は愛を熱狂的に語るが、さて、はたと気づく。媚薬によって始まったこの恋は果たして「真の愛」なのか?この熱狂も真実なのか?音楽はただひたすらロマンティックにテナーに旋律を歌わせるのみ。。。

第3曲(第2曲は今回カット。これも素晴らしい曲なのだけど。)は「Of household rule(家庭の規則について)」。この曲だけ歌詞が新しい。なんと宗教改革者マルティン・ルター。「敬虔な生活を送る男性とは、自分自身に妻をめとるものである。敬虔な道を歩む妻とは、夫に対して忠実であり続けるものである。・・・」と延々と家庭における夫と妻の心得のようなものが説かれる。どんな曲をご想像だろうか。聞いてのお楽しみだが、ヒンデミットは多分、ルターをあんまり信仰していないのかも(私の想像)、夫と妻の役割についてこの詩に納得してないのでは!と思わせる曲なのだ!

第4曲は「Troopers' Drinking Song(騎兵たちの酒飲み歌)」。これはとにかく楽しい曲。「どんどんまわせ、どんどんまわせ、こっちにもっとワインを!」変拍子でスピード感あふれる中で、酔っ払うソプラノとテナー、ぴったり!(←飲み助は大体・・・)

第5曲は「The Devil a monk would be!(修道士になろうとした悪魔)」。この曲は主役は一匹のオオカミ。良心の呵責に苦しみ、安らぎを求めて修道院へ行き、そこを気に入る。しかし、彼は羊と豚をかみ殺し、司祭様の犬が殺したんだ、と言う。。。修道士になっていた場面と本能のままに殺戮をする場面の音楽のギャップがおそらくたいていの人が思う曲想と真逆。本能のままの場面の軽やかさ、爽やかさ、輝きといったら!

この曲集は「音楽」と「詩」の組み合わせが大変おもしろい。詩の世界を表現しようと大抵の作曲家が技巧を凝らし作曲していくのだと思うのだが、ヒンデミットは詩の世界を十分に理解した上で、自分の考えを音楽で表現している。それがくちびるの端でにやりと笑うような音楽につながっていると思う。

12のマドリガルも大変有名だがドイツ語のせいかかなり重苦しい。この曲集はもっと軽く、明るさが強い。もっともっと歌われていい曲だと思う。

グローブの音楽事典を見ていたらヒンデミットのこんな言葉が載っていた。我々アマチュアが元気になる言葉だと思う。誇りを持ってまた活動したくなった。

「真剣に音楽に取り組むアマチュア音楽家たちは、音楽界にとって職業音楽家と同じくらい重要である。(Musik und Gesellschaft 1930年4月号)」

「アマチュア集団の音楽の大きな運動の中から、平和運動が世界中に広がることは不可能ではない。・・・音楽を一緒に作る人間は敵同士になれない。少なくとも音楽が聞こえている間は。(A Composer's World 1952年発行)

今回の曲は、ヒンデミットの保守的な部分が大きく出ているのかもしれないが、ドイツ人のアイデンティティのようなものも感じられ、とても楽しい曲。ぜひ楽しんで(団員は必死、かな?)聴いていただけたらと思う。あと少し、精進したい。
posted by ゾリステンアンサンブルHP管理人 at 21:13| 島根 | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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